生活と人生

人生は生活

「この地獄を生きるのだ」を読む

東畑開人さんの「居るのはつらいよ:ケアとセラピーについての覚書」に「この地獄を生きるのだ」(小林エリコ著)が紹介されていたので読んだ。「居るのはつらいよ」は大変興味深く読んだが、まだ内容を完全に咀嚼できていないので感想はまたの機会に。

「この地獄を生きるのだ」は学生時代からおそらく鬱病で通院・服薬をしていた著者の小林エリコさんが、ブラックなエロ本編集会社勤務を経て自殺未遂をし、社会からドロップアウト、その後自立と回復のために通い始めたクリニックとデイケア生活保護受給を勧められ、生活保護を受給しつつ治療を続け、再び仕事に就いて仕事復帰を目指す、だけどその過程には地獄のような出来事があって…と言う内容の本である。

と、書くと、仕事ができない程病んだ人が生活保護を受給しながらクリニックとデイケアに通い、仕事復帰を目指すのはとても良いのではないかと思う方もいるかもしれないが、小林さんが通うクリニックとデイケアはどうも、小林さんが仕事復帰できるような道筋に沿った治療をしてはくれない。

確固たる証拠を得られなかったのか明言はされていないが、小林さんの通うクリニックとデイケアはどうも、患者に不必要な治療やデイケアでの活動を強制して、診療報酬を得ているようである。

なので小林さんは儲かりもしないし仕事復帰にも繋がらない、公民館で他所から仕入れたお菓子を売ると言う作業を押し付けられる。障害者向けの作業所でよくある、作業所でお菓子を作って販売するのではない。ただお菓子を仕入れて公民館で売る。そこでしか手に入らないものではないから当然売れない。小林さんたちはデイケアスタッフにタイムカードを押すよう指示され勤務しているので、少ない金額ではあっても、働いたぶんは賃金が出ると思っている。しかし小林さんに渡された報酬は月まるまる働いて1万円だけ。スタッフに聞くと「小林さんたちはこのお菓子ショップの経営者なので、利益が出ない現状当然報酬は減ります」と言われてしまう。小林さんは生活保護を受給しているので、生活面での心配は少ないとは言え、治療にも仕事復帰にもならなそうなお菓子の販売をさせられて月僅か1万円しか報酬がないだなんて、それは倫理的に問題があるだろう。

もちろん、何故契約書を結んでからお菓子販売に従事しなかったのかと疑問を抱く人もいるかもしれないが、デイケア作業療法の一環なのでやりなさい、やらないとあなたの居場所がなくなりますと言われたら、詳細な条件が分からなくてもやらざるを得なくなるのではないだろうか。ましてや小林さんは仕事に復帰したいと強く考えている。お菓子を販売することはそれに役立つと考えて真面目に従事したのではないか。

他にも、このクリニックは、OD癖があり、おそらく鬱病で通院していて、妄想や幻聴などの症状は全くない小林さんに対して、無理矢理統合失調症との診断をくだし、二週間に一度「デポ剤」なる注射薬を小林さんに打つ。これは通常、病状の関係できちんと服薬するのが困難な患者さんに行う処置なのだけど、小林さんはきちんと服薬できているにも関わらず、クリニックは有無を言わせず小林さんのお尻にデポ剤を打つ。お尻に打つので注射の痛みのせいで座るのも憂鬱になるし、特に小林さんの病状が改善される気配もない。デポ剤は薬価がとても高い。しかし生活保護受給者は医療費がかからないし、生活保護を受給していなくても精神障害者は「自立支援制度」を利用することができ、かかりつけの病院と薬局に限り医療費が一割負担になり、更に収入によって月ごとの医療費の上限が定められている。上限を越えた医療費は請求されない(因みにわたしの場合月の医療費の上限は5000円である)。なので、このクリニックに通う患者の多くが、薬価の高いデポ剤を打たれても、患者自身の負担はそれほど増えないのである。しかし、クリニックとしてはその薬価分診療報酬が増えるだろうし、デポ剤を卸している製薬会社もきっと利益が増える。

また、このクリニック及びデイケアは、利用者の誕生日には必ず高級フレンチ店に利用者を連れて行きフルコースを振る舞うと言う。多くのデイケアには社会復帰のためのプログラムとして外出や宿泊のプログラムが用意されているが、小林さんの通っていたデイケアでは外出先がディズニーランド、宿泊はミラコスタと言うプログラムがあったらしい。もちろん無料で参加できる。要は病気で働かなくて贅沢のできない患者に贅沢をさせて、クリニックやデイケアへ通うことをやめさせないようにする囲い込みである。

しかし、その処置が不必要な患者にデポ剤を打って診療報酬を得たり、利用者の誕生日にフレンチレストランに連れて行ったりディズニーランドで遊んでミラコスタに泊まる費用を出したり、その原資はいったいなんなのか?税金や社会保険料である。年々上がり続ける社会保険料が、病気の人の治療のためにならないことに使われている。小林さんはそのことを強くは批判してはいないが(エビデンスがないのでできないのだろう)読んでいる方は忸怩たる思いを抱えてしまう。わたしも精神疾患を抱えていて、一生通院と服薬が必要な身だ。小林さんが通っていたようなクリニック・デイケアが増えてしまうと、今後国民皆保険が廃止され、通院と服薬が必要で病気のため充分な収入もないわたしはそうなったらまともな治療は受けられないのではないかと思ってしまう。

何故小林さんは、このような、通っていても病状が良くなりそうもないクリニックに通っていたのか。それは小林さんの生活圏に生活保護受給者が受診できるメンタルクリニックがここしかなかったからだそうだ。

本書では生活保護を受給するしんどさについても細かく描写されている。生活保護受給窓口の担当者の冷たい態度に反して、やけに読みやすい大きさで平易に書かれている生活保護についての説明の書類、世間からの蔑視を意識して堂々と生きられないことの苦しみ、保険証を持つことができないので病気になるたびに役所に通院の申請をしなくてはいけないこと、通院先で生活保護受給者と知られたらと考えると感じてしまう羞恥。

もちろん、これらの感情は抱えなくても良いものだ。生活保護と言うのは日本が法律で定めた福祉の制度であり、生まれてきた全ての命が経済的理由で命を落とさないための大切な制度だ。正当な手段で生活保護受給を申請し、それが受理されたのなら、なんら後ろめたい感情を抱く必要はない。他人の税金で生きるのは気が引けると言う気持ちはすごく分かるが、今納税している人だって、いつ何時働けなくなるか分からないのだ。困った時はお互い様だ。誰かは誰かに助けられ、また誰かを助けて生きている。生きるのに条件は要らない。生きたい人を、生きられる人を殺してはいけない。

小林さんは生活保護担当のケースワーカーさんともあまり上手くやっていけない。自分の言いたいことを主張するのが苦手だし、相性の悪いケースワーカーさんに担当されたりもする。わたしなどは、幼少期から誰にも愛されず、周囲から孤立し、黙っていたらありとあらゆるものを奪われるため、生きるためには自己主張をしなければならなかったが、小林さんはわたしとは真逆で、上手く生きるために自分の主張を押し殺すタイプの方である。なので、生活保護の制度について聞きたいことがあっても担当者に聞くことができない。収入があったらどうすればいいのか、仕事を見つけたいがどうすればいいのか。そう言うことを相談できる相手がいない。本来ならクリニックやデイケアに配置されているはずのソーシャルワーカーや精神保険福祉士などがそう言う相談に乗るべきと思うが、前述した通り、小林さんが通うクリニックは患者が仕事を見つけてデイケアを利用しなくなると診療報酬が減るのでそう言うことはしそうにもない。

小林さんは追い詰められて再びODしてしまう(ここに至るまでも何度かしている)。それによって、クリニックに通院することまでは禁じられなかったものの、デイケアは出禁になってしまう。でもこれが結局は良い方向に動いた。クリニックに置いてあった冊子で、あるNPO法人の存在を知るのである。これをきっかけに苦労しながら、時間がかかりながらも、小林さんは仕事をやっと得ることができた(細かい経緯はネタバレになるので書かない)。

小林さんは最初に就職したブラックなエロ本編集会社を体調・精神状態の悪化により退職してからも、常に仕事をして自分の力で稼いで生きたいと思っていた。やっとそれが叶ったことで、自身の中にあった生活保護への偏見にも向き合っている。受給していた時はそのことが恥ずかしくてたまらなかったが、受給しなければ生きていけない人の存在や、そう言う生き方を恥ずかしいと思わなくなる。実はわたしは、本書の最初の方での小林さんのことはあまり好きになれなかった。仕事をせねばと言う気持ちが強すぎて、仕事をしていないと社会復帰ではないと考えているようだったし、生活保護の説明の、大きな文字と漢字にルビの振られた書類を見て「バカにしているのか」と傷つくところは、大きな文字で漢字にルビが振られていないと文章が理解できない人の存在をバカにしているのかと思った。

でも、それは当時の小林さんに余裕がなかったからだ。本書を読むと、次第に心が柔軟になっていく小林さんの変化がわかる。暗く長い地獄のようなトンネルの出口が見えたら人は変わる。

さて、小林さんは本の中で「社会復帰したい」とよく書いていた。しかしわたしは敢えてこの言葉は使わず「仕事復帰」と書いた。何故なら、仕事ができない人も社会の一員だとわたしは思うからだ。生活保護を受給していても社会の一員だ。確かに学生でもなく働いてもなく家族とも離れて暮らしていたりそもそも家族がいない場合、家に引き篭もるなどして社会から切り離されてしまうことが多いだろう。こんな自分が社会と関わっていいのか、とか、生活保護受給者と社会に知られたら蔑視の目に晒されるに違いないとか、そう言った感情を抱く人も多いだろう。

これはあまりにも理想主義的かもしれないが、わたしはどんな人でも社会の一員だと思っている。だから社会復帰と言う言葉は、そもそも皆んな社会に在るのだから、復帰と言うのはそぐわないと思うのだ。その上でどのように社会と関わっていきたいか、人それぞれ違うであろうこの望みが、できる限り全部叶うといいなと思う。

仕事はできそうもないけど人と関わりたいと言う人には、小林さんが通っていたような怪しげなデイケアではなく、まともでその人に合ったデイケアに通うとか、色々な疾患の自助会を見つけるとか、外出困難な人はインターネットを利用して人と関わるとか色んな手段があるといいなと思う。あるいは、療養して少し体調が良くなったので社会のためになることをしたいと言う人もいるかもしれない。そう言う人は無理のない範囲でボランティアをするとかも考えられる。もちろん、小林さんのように病気を寛解させて仕事をしたいと言う人は、適切な就労支援が受けられる世の中であって欲しい。

東京にいると、デイケア併設のクリニックは沢山あるし、区などが主催するデイケアもある。身体・知的・精神障害者それぞれに向けた就労支援施設も沢山あるし、本格的な仕事をする前に利用する作業所も沢山あることが分かる。願わくば、日本のどこに住んでいても、こうした支援を受けることができれば良いのだが福祉の予算は限られているのでなかなか難しいのかなとも感じる。

本書を読んで、この世界にはまだわたしの知らない種類の地獄があると分かったし、その地獄をサバイバルした小林さんの存在にはとても勇気を与えられた。そして、発達障害精神障害者として苦しいながらも細々と生きている自分について振り返るきっかけにもなった。ともすればわたしは人生に対する希望を失いがちであるが、希望を失っても生きてていいのだと思うことにする。いつか希望が見えてくることもあるだろうから。

長々と書いてしまったが、小林さんの文章はとても読みやすく決して難しい本ではないので、機会があれば是非読んで欲しい。巻末にオマケとして収録されていた、エロ本編集会社時代についての漫画は単純にとても面白かった。

下地の色を変えた話

最近「40代からのメイク」みたいな本を乱読してるんですけど、どの本にもファンデは白浮き厳禁、テカリてはない艶肌を作れって書いてありますなー。

で、わたし、ずっとピンク系の下地を使ってたんですよ。あ、下地ってファンデの前に塗るやつね。ピンクの下地は肌のくすみを取り血色感を与えるらしいので。わたし、太陽光が苦手で、めっちゃ顔色悪いんですよね。なのでずーっとどのメーカーの下地だろうと、ピンク系のものを使ってたんですけど、なんか最近顔が白浮きしてるような気がしてねえ。ファンデは地肌よりワントーン暗めのを使っているから、多分下地のせいなのかな、と。

で、肌に色むらがあってくすみがある人にはアプリコット系の下地がおすすめってあったので、試してみることにしました。

今まではファンデもシュウ・ウエムラのを使ってることもあって、下地もシュウのUVアンダーベースムースCCってやつのピンクを使ってたんですけど、これもう廃盤なんで、違うメーカーのにチャレンジしてみました。ちなみにこのムースの下地はめちゃくちゃ使いにくかったwムース状の液体が肌になかなか馴染まないのよw廃盤もむべなるかな。

それで、エクスボーテ化粧下地マルチコントロールカラーのアプリコットを買ってみました。

さっそくつけてみたんだけど、確かに白浮きはしなくなりました。でもなんか、日焼けしたみたいな肌に仕上がってちょっと…シミソバカスはばっちりカバーされてないしwよく言えば色黒の健康そうな人、悪く言えば日焼けしっぱなしのお肌のお手入れなんもしてない人っぽくなって微妙だなー。

けど、今日暑かったじゃないですか。でも朝メイクして今に至るんですけど、Tゾーンはさすがにテカリが出るけど、頬の鼻寄りの部分の毛穴の辺りがよれてなくて綺麗なままなんで、色選びを間違えなければ、このエクスボーテの下地、良いかもですねー。

ちな、今Amazon見たら3300円だったけど、わたしはこないだのセールで2500円ぐらいだったっす。このお値段でこの使用感はなかなか良いと思います。

ところでさー、40代はテカリは厳禁、でもヘルシーな艶を肌に纏ってって無理くないですか?w艶感のあるファンデって絶対崩れるんですけど…わたしは今はシュウ・ウエムラのアンリミテッドラスティングフルイドってリキッドファンデに同じくシュウのアンリミテッドインビジブルパウダーって言うやつを使っていて、めっちゃマット肌に仕上げてます。だってTゾーンめちゃくちゃテカるんだもん。確かにマット肌が老けるって言うのは分かるんだけど、脂ギッシュはもっと嫌じゃ。

あれかもなー、下地→ファンデ→パウダーの後に艶を出したいところにだけ、艶感のあるパウダーをつけるといいのかもね。

とりあえず…エクスボーテの下地使い終わるまではめちゃくちゃ日焼けした人として生きていきますw

 

シートパックの使い方を間違えてた話

どうも、貧民です。

貧民でも適切なお肌のお手入れをしたいです。もう45歳なんで。

なので基礎化粧品はもっぱらプチプラコスメに頼っておりますが、量使うことでなんとか肌に潤いを補給しております。

朝は普通の化粧水をシャバシャバつけてハンドプレス(今は豆乳イソフラボン化粧水使用)。夜は化粧水のシートパックを使っていたつもりだったのですが…よく見たらこれ美容液のシートパックではありませんか!(メラノCCのやつ)

裏の説明にちゃんと、化粧水使ってからこのパックを使うようにと書いてありました。今まで「シートパックで潤ってる!ムフフ」とか悦に入ってたわたしはなんだったのだろう…。

気を取り直して、ドラッグストアに行ったところ「ビタcicaマスク」なるものが売っているではないですか。税込1000円ちょっとで40枚入り。

cicaはツボクサエキスのことで、韓国コスメによく配合されていますね。乾燥や炎症などによる肌トラブルを鎮静させる効果が期待されます。それプラスビタミンなんで、まあ悪くなかろうと。

これが買って大正解でした。シートパック使用直後の肌のモチモチ感、翌朝起きた時のふっくら感が違うんです。パッケージに書いてある「化粧水・収斂・美容液・乳液・パック」の5つの役割を果たしているかは疑問ですが、少なくとも化粧水のシートパックとしては大満足です。

もちろん、メラノCCの美容液シートパックが悪いのではありません。化粧水で水分補給してから使用するのであればきっと素晴らしい効果を発揮してくれることでしょう。

シートパックの使い方、間違っちゃダメ、絶対。

自己紹介

どうも、pooroldsoulです。

あれから随分歳をとりました。魂は貧しく老いました。

古のはてなユーザーの中には覚えてらっしゃる方もいらっしゃるでしょうか。元おっぱいちゃんです。

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これは28歳の頃でしょうか。

45歳になった今となっては見るかげもなく、胸は情けなく垂れて横に広がっております。

しかし、肉体が衰えることは悪いことではありません。もう誰かに見せつける必要も、認めてもらう必要もないのです。

承認欲求の薄れた人生とはなんと楽なものなのでしょうか。

わたしはこれからますます老いていくでしょう。しかしきっとそれは、今よりもより安らかに穏やかな生活を送るために必要なことなのです。

このブログでは日々のささやかな生活、喜びなどを綴っていこうと思います。